2026年10月20日火曜日
さよならCOWRA
献歌
2026年10月18日日曜日
Concert in COWRA
アンコールは「さようなら」。素晴らしい時ほど、砂時計のように早く零れ落ちていくものです。別れを惜しむ旋律に、感極まって涙で声を詰まらせる団員の姿が、この旅がいかに濃密であったかを無言のうちに物語っていました。
ひとつの演奏会が幕を開ける陰には、途方もない献身が存在します。どの街でも、まるで空気を吸うかのように当たり前に私たちの舞台を支え、奔走してくださった方々への深い感謝は、とうてい言葉では尽くせません。成功という名の光も、失敗という名の影も、すべてを血肉として得たラグビーで言うところの「1キャップ」。この誇らしい経験の勲章を胸に深く刻み込み、私たちはまた、次なる「さすらい」の旅へと歩みを進めます。(大石)
悲しみを越えて紡がれる絆
私はカウラで長年マリオン・スターさんのお宅にホームステイをさせていただいていました。現在は彼女の遺志を引き継いだ三姉妹の皆さんにお世話になっています。マリオンさんは、かつてこの地で起きた「カウラ事件」で、ご自身の身近で大切な方を亡くされるという、深く悲しい過去をお持ちでした。しかし、その絶望や痛みの中で決して心を閉ざしたり憎んだりするのではなく、「日本人と親しく交流することこそが、この悲しみを乗り越える道である」という、広く気高いお考えで、私たち日本人と向き合ってくださいました。その崇高な想いと深い慈愛は娘さんたちに引き継がれ、私たちをまるで本当の家族のように、あたたかい笑顔で迎え入れてくださっています。彼女たちの細やかな心遣いに触れるたび、私は胸が熱くなるのを禁じ得ません。深い悲哀の歴史を越えて、真っ直ぐに差し出されたこの尊い両手に、私たちは何をお返しできるでしょうか。それはきっと、言葉や国境を越えた友情と、祈りを込めて、私たちのハーモニーをこのカウラの澄んだ空へ誠実に響かせることなのだと思います。 (吉田)
懐かしき我が家
今、お二人は愛した牧場の風や大地と一つになって穏やかな時間を過ごされていると伺いました。思い出の白い家の前に立ち、久しぶりに見るその景色に、懐かしさと、もう直接お声を聞けない寂しさが込み上げ、ただ心からの感謝を伝えてきました。見晴らしの良い場所から微笑んでくれているであろうお二人と、これまで支えてくださった全ての方々へ想いを馳せ、深い感謝を込めて歌声を響かせたいと思います。(三瓶)
縁の下の力持ち
演奏会当日、まだ誰もいない静寂に包まれたホールへ誰よりも早く足を踏み入れるのが、団員の大石です。目的は、ピアノに命を吹き込む「調律」のため。いかなる環境下であろうと、妥協なき至高の響きをお届けしたい——その熱き矜持が、彼を突き動かしています。そして、この孤独でひたむきな舞台裏の作業を目にするにつけ、私たちの脳裏に浮かぶのは、指揮者の升本弘先生の背中です。以前は先生ご自身が、この重責を一身に担ってくださっていました。タクトを振るだけでなく、自らの手で音の土台から築き上げてくださっていたその途方もない労力と、私たちへ向けられていた深い愛情。時を経た今だからこそ、その見えない献身の重さがひしひしと胸に迫り、ただただ尽きせぬ感謝の念が込み上げてくるのです。(吉田)
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